陳腐な。
山田詠美の小説はほとんど読んでる。エッセイも。彼女の話って、人の感情の動き方がリアルで好きなんだー。
人間て清く正しい生き物じゃないし、強くも弱くもないし、 価値観とか趣味なんてもんは人によってそれぞれ違うから 比較したり批判したりする事に意味はないし、 人生は夢物語じゃないだよなぁって再確認できるから。
そんな世界に生きてるけど、山田詠美の言葉は、 あー人を好きになるってこういうことだよねぇ。。。 って何度もうなずいてしまう表現で溢れてるから、 なんだか山田詠美中毒なのさ。
今朝も電車で読んでて感じたこと。
恋愛って、高尚なものじゃない。すっごく陳腐なものだな。
恋愛をしている正にその瞬間は、なんて自分たちって高尚で卓越した関係を築きあげているのだろうと勘違いしている人が多い。
私達は他のカップルとは違う、他の人間とは分ち合えない特別な感情で繋がれているっていう、思い込みを誰もが持ってる。
でも、誰もがそう思っている時点で、自分たちは特別じゃないって認識するとこまで頭が回ってない。
大体、人を好きになるってこと自体、たいそれたことじゃないって私は思ってる。
自分がクレイジーになるくらい好きになってしまうような魅力的な人がいて、その人に出会えてしまったことは、そりゃたいそれたことだ、それは絶対的に認める。
けど、好きになる行為それ自体は、誰にだって簡単に出来てしまうもの。
何より自然なことでしょ。たいしたことじゃないんだよ。
後から振りかえってみて、誰かと恋愛してた時の自分を思い出すと、 恥ずかしくなったり、かわいいなぁと思ったり、くだらなくてばからしかったなーって思うこと、たくさんあるじゃん?
みんな、恋愛をしてる周りの人をみても、そう思うじゃん?
結局、恋愛ってそういうことなんだよね。
一生懸命のひたむきな自分の気持ちなんてその時の自分にしかわからないもので、他の人にとってみたら、陳腐でくだらないの。
絶対的な永久的な気持ちなんてないし、 タイミングと、偶然出来あがったシチュエーションと、 ほんのちょっとの性的な匂いを嗅ぎつけることが出来れば、 それだけで始めるのには充分な恋愛って、すごく陳腐じゃない?
なのにその陳腐さは、後に人の心を振りまわす勢力要素の塊で出来ている事もみんな承知しているなんて、なんて滑稽!
でもその滑稽さが私はだーいすき。
自分たちの関係は特別ではないと知った上で、 誰かの特別になったり、甘やかされたり、恋しがられたり、お酒をおごられたり、ドライブ連れてかれたり、嫉妬されたり。
そのお返しに、手をつないだり、用もなく電話をかけたり、誕生日を祝ってあげたり、昔の写真を見せたり、ちゃんとご飯食べてるか心配したり。
そーゆー当たり前のことを共有するって、あまりにもありきたりで陳腐だけど、やっぱ恋愛しないと味わえないことじゃないか。
今その時その人と出来ることを、どんなに小さい事でも味わい尽くしてやろうとすることが恋愛の醍醐味なんであって、 それはどんなに滑稽に映っても、でもやめられないんだよね。
コントロール不可のかっこわるーい自分丸出しでね。
だから、それを長続きさせようとか考える余裕なんてないよ。
だって恋愛は長続きさせるためにするんじゃないもんね。
自分たちは特別じゃないんだから、ずっと変わらずに一緒にいられる保証も安全も何もないんです。
だけど、今この瞬間、欲しいと思う気持ちは本当なんです。
そんな軽薄さでいいじゃないか。
それが自分にとっては真摯な心の動きなんだからね。
今日。 ものすごく久しぶりに エルトンジョンの TINY DANCER がラジオで流れてるのを聞いて、笑っちゃった。
だってだって、歌詞が・・・陳腐~。
しかし実はこの曲、私の思い出の詰まった曲で・・・
あの頃は大好きで何度も聞いて、歌うどころかピアノまで練習してた。
今となっては、too Cheasy で苦笑しかできないけど、 あの時の私にとってはもう、超名曲で心震えずにはいられなかったのよ。滑
稽だよねー。
恋愛もそう。
そういうものなのさ。
0 Comments:
Post a Comment
<< Home